日本歯科保存学雑誌
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原著
He-Neレーザー照射がチタンプレート上のラット培養骨髄由来細胞に及ぼすLLLT効果
青山 剛大
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2011 年 54 巻 6 号 p. 413-423

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抄録

He-Neレーザー照射された培養骨髄由来細胞を用いた低レベルレーザー治療(Low Level Laser Therapy,以下,LLLTと略す)の効果に関する研究は,ほとんど見受けられない.そこで本研究は,He-Neレーザー照射が骨髄由来細胞に及ぼすLLLT効果を検索し,臨床応用することを目的として遂行された.SD系ラット大腿骨由来骨髄細胞を二度継代した細胞にHe-Neレーザー照射(1.20J/cm2)し,ポリスチレン上で培養して細胞増殖活性および分化活性を検討した.細胞増殖活性は吸光度より評価し,また分化活性はアルカリフォスファターゼ染色とReal-time定量PCR法により標的遺伝子[アルカリフォスファターゼ(以下,ALPと略す),オステオポンチン(以下,OPNと略す),あるいはオステオカルシン(以下,OCNと略す)]の発現を確認,評価した.また,He-Neレーザー照射がチタンプレート上の骨髄由来細胞に及ぼすLLLT効果も確認するため,チタンプレート上のレーザー照射骨髄由来細胞の増殖活性および分化活性も同様の方法で検討した.その結果,以下のような知見を得た.1.ポリスチレン上の培養骨髄由来細胞は,He-Neレーザー照射することで細胞増殖活性が上昇した.また,分化活性に関しても有意に高いALPの発現を認め(p<0.05),OPNの発現では高い傾向を示した.よって,He-Neレーザー照射されたポリスチレン上の骨髄由来細胞は,積極的に骨芽細胞へ増殖分化していることが判明し,LLLTの効果が確認された.2.チタンプレート上の培養骨髄由来細胞は,He-Neレーザー照射することで細胞増殖活性が上昇した.また,分化活性に関してもALPとOPNの発現が有意に増加し(p<0.05),チタンプレート上でも積極的に骨芽細胞へ増殖分化していることが判明し,LLLTの効果が認められた.以上のことから,He-Neレーザーは培養骨髄由来細胞に対しLLLTの効果を有することが判明し,この効果はチタンプレート上においても認められた.したがって,チタンインプラント体植立前の骨孔周囲におけるHe-Neレーザー照射にはLLLTの効果が期待でき,臨床応用の可能性が示唆された.

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