日本歯科保存学雑誌
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原著
臼歯部用コンポジットレジンのwearおよび曲げ特性
坪田 圭司角野 奈津山路 歩高見澤 俊樹大藤 竜樹黒川 弘康升谷 滋行宮崎 真至Mark A. LATTA
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2013 年 56 巻 3 号 p. 169-177

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抄録

目的:臼歯部咬合面修復に応用可能なコンポジットレジンを選択し,そのwear特性と機械的強度を,曲げ強さ試験を用いることによって検討した.材料と方法:実験には,Clearfil AP-X (Kuraray Noritake Dental), Estelite Σ Quick (Tokuyama Dental), Estelite P Quick (Tokuyama Dental), Solare(ジーシー)およびVenus Diamond (Hereaus Kulzer, Germany)の合計5製品を用いた.wear特性の評価には3体摩耗試験を用い,垂直負荷荷重80Nでステンレス製アンタゴニストを試片に接触させ400,000回繰り返した.試験後の試片について,非接触式レーザー測定装置を用いて,最大摩耗深さおよび摩耗量を求めた.機械的強度の評価としては,製作した試片について,万能試験機を用いて,支点間距離20mm,クロスヘッドスピード1mm/minの条件で3点曲げ強さを測定するとともに,応力-ひずみ曲線から曲げ弾性率およびレジリエンスを算出した.また,得られたデータは,分散分析ならびにTukey HSD test (α=0.05)を用いて統計学的検定を行った.成績:供試したコンポジットレジンのwear深さは66.9〜134.1μm, wear体積は0.015〜0.074mm3と,製品によって有意に異なるものであった.曲げ強さは88.9〜186.6MPa,弾性率は4.7〜15.9GPa,およびレジリエンスは7.7〜9.7MJ/m3であり,レジリエンスのみが製品による差が認められなかった.結論:供試したコンポジットレジンのwear特性および曲げ特性は,材料によって異なるものであり,有機複合フィラーを含む製品に比較して,フィラー含有量が多くしかも微細なフィラーを用いている製品で良好な成績を示した.

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© 2013 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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