日本歯科保存学雑誌
Online ISSN : 2188-0808
Print ISSN : 0387-2343
ISSN-L : 0387-2343
原著
試作LED光照射器に関する研究
黄地 智子恩田 康平初岡 昌憲吉川 一志山本 一世
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 57 巻 1 号 p. 19-28

詳細
抄録

 目的 : ヘッド部が小さく (直径2.1mm), 歯肉壁まで近接させて光照射を行うことができる新規LED光照射器 (以下, MIヘッド) を試作した. これと従来型LED光照射器であるペンキュアがII級窩洞の歯肉壁の接着に与える影響について, 比較, 検討を行った.
 材料と方法 : 抜去ウシ歯に象牙質被着面を形成し, クリアフィルメガボンドを用いて歯面処理を行い, ペンキュアおよびMIヘッドにて照射距離および照射時間を変えて光照射を行った. その後コンポジットレジン (以下, CR) 充填を行い, 24時間・37°C水中保管後, 引張接着強さ (以下, TBS) を測定した. ヒト抜去歯にII級窩洞を形成し, 隔壁後クリアフィルメガボンドを用いて歯面処理を行いペンキュアの場合は咬頭頂から, MIヘッドは窩洞の歯肉壁に近接させて照射条件を変えて光照射を行った. その後CRを充填し, サーマルストレスを負荷した. 各試料を5%塩基性フクシン水溶液に24時間浸漬した後, 光学顕微鏡下で色素浸透状態を観察した. 下顎人工模型の左側第一大臼歯近心にII級窩洞を形成し, 色素浸透試験と同様の照射環境でペンキュアとMIヘッドの光強度を測定した.
 結果 : TBSの測定でMIヘッドは有意に高い値を示したが, 色素浸透試験の結果では色素浸透を防ぐことはできなかった. 光強度はペンキュアのほうが有意に高い値を示した.
 結論 : MIヘッドを使用してII級窩洞のボンディング材に十分な接着力を与えるためには, 照射方法の工夫や光照射の追加が必要であることが示唆された.

著者関連情報
© 2014 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
前の記事 次の記事
feedback
Top