日本歯科保存学雑誌
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原著
根管充塡用シーラーのセメント芽細胞に対する細胞障害性に関する研究
鈴木 エリ武藤 徳子石井 信之
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2016 年 59 巻 1 号 p. 119-123

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抄録

 目的 : 本研究は根管充塡用シーラーのセメント質誘導能を比較検討することを目的とする初期研究として, セメント芽細胞に対する細胞障害性を細胞増殖率より測定し, 継時的細胞形態の変化を形態学的に解析した.
 材料と方法 : ヒトセメント芽細胞 (HCEM) を1×105 cells/wellになるように6 well Culture Plateに播種した. キャナルスN (Canals N), ニシカキャナルシーラーN (CS-N), S-PRG含有シーラー (Surface Pre Reacted Glass-ionomer : SPRG) はあらかじめ円形ディスク枠 (直径2mm, 高さ1mm) で指示書に従い硬化させたものを添加して5% CO2条件下で共培養し, 培養24, 48, 72時間後に細胞数を測定した. 培養後のHCEMは位相差顕微鏡を用いて観察し, 形態学的変化を比較した.
 結果 : 根管充塡用シーラー刺激によるセメント芽細胞の生細胞数をコントロール群と比較した結果, 24時間後でCanals N 84.2±10.0%, CS-N 83.4±11.7%, SPRG 77.0±9.6%を示し, 統計学的有意差は認められなかった. また, すべての供試試料群における細胞増殖率は24時間後から72時間後においてもコントロール群との間に有意差は認められなかった. さらに, 供試試料間による細胞形態に変化はなく, 培養期間中に異常所見は認められなかった.
 結論 : 根管充塡用シーラーのHCEMに対する細胞障害性を生細胞数測定と形態学的変化によって解析した結果, 細胞障害性は認められなかった.

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