日本歯科保存学雑誌
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原著
WaveOne Goldの根管切削特性に関する研究
—G-wireとM-wire素材ファイルによる根管切削の比較—
上田 剛史平嶺 倫子下島 かおり渡邊 亮一郎佐藤 生野武藤 徳子石井 信之
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2016 年 59 巻 1 号 p. 111-118

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抄録

 目的 : Ni-TiロータリーファイルシステムはM-wire素材 (以後, M-wire) によって破折抵抗性が向上し, さらに改良を加えたG-wire素材 (以後, G-wire) によって, 複雑湾曲根管の根管形成が容易になった. 本研究は, G-wireにより改良されたWaveOne Goldによる根管形成を評価することを目的とし, 根管切削時間と根管壁変位量との関係をWaveOneと比較検討した.
 材料と方法 : 実験にはJ型エポキシレジン製透明湾曲根管模型各70本を使用した. 各実験群は, ProGliderによるグライドパス形成後にWaveOne GoldおよびWaveOneによる根管形成を行った. 切削効率の比較はWaveOne GoldのSmall, Primary, Medium & Largeファイル群の3群に分類し, 各群においてWaveOneの同名ファイル (Small, Primary, Large) を対照として比較した. 切削効率の測定は, 根管形成前後の透明湾曲根管模型を重ね合わせ, その差異を実体顕微鏡Olympus SZX16およびデジタルカメラDP71を用いて撮影し, さらに計測用ソフトWinRoofを使用して計測を行い根管壁変位量とした. さらに, 根管形成所要時間についても比較した.
 結果 : WaveOne GoldとWaveOneの根管壁切削量を湾曲根管内湾側と外湾側で測定した結果, Small, Primary両ファイル群で有意差が認められなかった. さらに, WaveOne Gold Medium, LargeとWaveOne Largeファイルとを比較した結果においても有意差が認められなかった. WaveOne Goldの根管形成時間はWaveOne Goldよりも短縮されSmallで20%減少, Primaryで40%減少, MediumおよびLargeで30%減少することが示された.
 結論 : G-wireを用いたNi-TiシングルファイルWaveOne Goldによる根管形成は, M-wireのWaveOneと比較して迅速で正確な根管形成が可能であることが示された.

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© 2016 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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