日本歯科保存学雑誌
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原著
歯肉上皮細胞のTLR3を介したIFN-β産生に及ぼすニコチンの影響
柳田 学森 健太久保田 実木子長谷川 詩織三木 康史粟田 敏仁沢田 啓吾山下 元三野崎 剛徳山田 聡北村 正博島袋 善夫村上 伸也
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2016 年 59 巻 1 号 p. 93-102

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抄録

 目的 : TLR3はウイルス由来二本鎖RNAを認識して免疫担当細胞からのⅠ型Interferon (IFN) 産生を誘導し, 抗ウイルス免疫応答に関与すると考えられている. 歯肉上皮細胞においてもTLR3の発現が報告されているが, 歯周病原細菌のLPSのリガンドであるTLR2やTLR4と比較すると, その詳細はほとんど検討されていない. 本研究では, 歯肉上皮細胞に発現するTLR3を介した刺激に対して, タバコ煙主成分であるニコチンがどのような影響を及ぼすかの検討を行った.
 方法 : 当研究室で樹立した歯肉上皮細胞株epi4細胞におけるTLR3の発現を, RT-PCRおよびフローサイトメトリーにより検出した. また, ニコチン存在下でのTLR3の発現量の経時的変化をreal-time PCRにて検討した. ニコチン存在下・非存在下でのTLR3アゴニストPoly (I : C) 刺激による歯肉上皮細胞からのIFN-β産生量をELISA法にて, IFN-β発現に重要な転写因子であるIRF3のリン酸化をWestern blotting法にて検討した.
 結果 : 歯肉上皮細胞においてTLR3が発現しており, ニコチン存在下でTLR3発現は亢進した. また歯肉上皮細胞におけるTLR3誘導性のIFN-β産生およびIRF3のリン酸化はニコチン存在下で増加した.
 結論 : 歯肉上皮細胞に発現するTLR3を介して, IFN-βが産生誘導された. ニコチン存在下で増強したIFN-βの産生は, ニコチンがIRF3リン酸化を亢進することによる可能性が示唆された.

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© 2016 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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