色材協会誌
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解説
ナノセルロースヴィークルプロジェクトの成果について
-セルロースナノファイバーを活かしたクルマづくり-
臼杵 有光
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2021 年 94 巻 6 号 p. 169-174

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抄録

セルロースナノファイバー(CNF)は,高強度,低熱膨張,低密度などの特徴をもつバイオ材料であり,植物などのさまざまなセルロース源から製造される。CNFはカーボンニュートラルで再生可能な素材であり,それを樹脂中に分散させることにより,樹脂が補強される。その技術をおもに利用することにより2016年10月からナノセルロースヴィークル(NCV)プロジェクトを実施した。ここでは自動車の軽量化により,排出される二酸化炭素(CO2)の削減につながり,地球温暖化対策への貢献を目的とした。国内の大学や研究機関,自動車メーカーなど22の機関が協力して実施した。東京モーターショー2019では,CNFを使用したコンセプトカーを展示し,国内外にそのポテンシャルを発信した。実際は13個のCNF部品を搭載し,かつ塗装に関しても新規な色を開発した。その評価結果では,CNFベースの材料を使用することで,自動車部品の軽量化に有利であることが実証できた。

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