色材協会誌
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ポリアルコキシシロキサンを分散安定剤とする非水系ポリマーディスパーションの合成と性質
中井 昇磯崎 理岩沢 直純
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1987 年 60 巻 11 号 p. 591-596

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抄録

無機ポリマーは, 有機ポリマーに比べて耐熱性・耐炎性等に優れているが, 有機ポリマーに比べて硬く脆い欠点がある。そのため, 有機ポリマーとの混合系が検討されているが, この手法では無機ポリマーの長所を大幅に低下させる。
無機ポリマーの特長を低下させることなく有機ポリマーとの複合化を可能にすべく, 本報では, ヘプタン可溶型のポリアルコキシシロキサンを分散安定剤とし, アクリルポリマーを分散粒子とした非水系ポリマーディスパーション (NAD) を合成し, その性質について検討を行った。
分散安定剤に用いたポリアルコキシシロキサン単独の場合, 5μm以上の膜厚で割れを生じたのに対し, 得られた上記NADは, 500μmの膜厚でも割れを生せず良好な造膜性を示した。
また, アクリルポリマーとポリアルコキシシロキサンの混合系に比べて, 硬化性・耐熱性・耐炎性および水蒸気透過性がきわめて良好であった。
この手法により無機ポリマーと有機ポリマーとの特長を兼ね備えた無機・有機ポリマーの複合体が得られた。

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