色材協会誌
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不均一系反応によるヒドロキシアパタイトの合成およびそのキャラクタリゼーション
松野 昂士小石 眞純
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1992 年 65 巻 4 号 p. 238-243

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抄録
リン酸一水素カルシウムニ水和物をpH=8.5付近で加水分解するとき, 高活性酸化カルシウムから調製した溶解速度の大きい水酸化カルシウムの微細粒子を同一の系に共存させて, 加水分解によって生成するリン酸をヒドロキシアパタイトとして固定することを試みた。ヒドロキシアパタイトの生成の指標として反応後の固相のCa/Pモル比に注目し, 反応条件を変化させた場合のその値の増減を調べた。リン酸-水素カルシウムニ水和物の反応系への添加速度が小さいほど, 水酸化カルシウムの溶解速度が大きいほど, さらに反応温度が高いほどCa/Pモル比が大きくなる傾向が確かめられた。しかし, 本実験条件のもとで得られた固相のCa/Pモル比は最も大きいものでも1.44であり, ヒドロキシアパタイトのCa/Pモル比の理論値1.67からは離れた値であった。この原因がリン酸一水素カルシウムの無水和物と二水和物が共存することにあることを確かめ, なぜこれらの化合物が混在するのかを考察した。また, 本実験で得られたCa/Pモル比=1.44の固相を, 1000℃で3時間加熱処理するとβ型のリン酸カルシウムに変化することを明らかにした。
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