神経眼科
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特集
甲状腺眼症
井上 吐州
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2014 年 31 巻 1 号 p. 13-21

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抄録

甲状腺眼症は自己免疫疾患で,原因としてバセドウ病が最も多いが,甲状腺機能正常,低下症でもみられる.抗甲状腺自己抗体として,TRAb,TSAbが知られており,TSAbの方が眼症の重症度,活動性に相関がみられる.眼症の治療においては眼窩内炎症に対する消炎治療とともに,甲状腺治療としてTRAbの正常化,つまり免疫学的寛解が望まれる.甲状腺治療によりTRAbが低下しにくい症例では,眼症は悪化しやすい.活動性の判定には,MRIによる画像診断が重要である.眼症が全身症状に先行しバセドウ病発症後に進行した症例,アイソトープ治療後に眼症が発症した症例,甲状腺摘出後に眼症が再燃した症例を提示する.新たな治療法も検証されているが,いまだ甲状腺眼症の治療はステロイドを用いた消炎治療,免疫抑制療法が主体である.

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© 2014 日本神経眼科学会
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