神経眼科
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症例報告
後期の緑内障性視神経症患者にMRI撮影により 神経サルコイドーシスと診断できた症例
明石 麻里下園 正剛井上 学
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2021 年 38 巻 2 号 p. 172-178

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抄録

 緑内障性視神経症の後期,特に,最終期の患者は,すでに視神経乳頭蒼白で視機能も悪く,所見の変化を検出しづらい.緑内障性視神経症の後期,特に最終期の患者にMRI撮影を行うことが神経サルコイドーシスの診断に有用であった症例を経験したため報告する.

 症例は48歳男性.皮膚サルコイドーシスにて当院皮膚科通院中であり,当科では虹彩炎の既往と緑内障で経過観察されていたが,3日前より急激な右眼視力低下を自覚し受診した.視神経乳頭は以前と同様に蒼白であったが,6か月前の最終受診日と比較し,右眼の視力低下(0.02から指数弁)および限界フリッカ値(CFF)の低下(17 Hzから0 Hz)を認めたため,視神経炎の可能性を考え頭部造影MRIを施行した.両視神経炎を思わせる腫大の他,髄膜に沿って橋,シルビウス裂,中脳などに多発性の結節性病変を認めたため,神経サルコイドーシスと診断し,ステロイドパルス1,000 mgを3日間行った.視力やCFFに改善はみられなかったが,ゴールドマン視野では若干の改善を認めた.後期の緑内障性視神経症患者に今までと違う急な経過を生じた際には,頭部造影MRIを撮影することで新規の病変が見つかることがあり,有用であると考えられる.

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