2022 年 39 巻 3 号 p. 211-215
Leber遺伝性視神経症(Leber hereditary optic neuropathy: LHON)はミトコンドリア遺伝子の点変異が原因となる遺伝性視神経症である.LHONの発症の中心は網膜神経節細胞であり,遺伝子変異を基軸とし,何らかの外的要因が加わることで発症に至ると推測されている.臨床研究では喫煙や多量のアルコール,内服薬が要因として挙げられているが,それらの外的要因に暴露されたのちに網膜神経節細胞がどのような挙動を示すかは明らかにされていない.
網膜組織の基礎研究においては動物モデルが汎用されるが,ヒト組織と同一ではないため,病態研究において生体内の挙動を正確に反映することは困難である.Induced pluripotent stem(iPS)細胞の多能性を利用し,ヒトiPS細胞から網膜神経節細胞を分化誘導することでヒト組織を得ることができ,実際の病態に近い細胞の挙動を観察できる可能性が高まる.分化網膜組織を利用した病態解析について考察する.