神経眼科
Online ISSN : 2188-2002
Print ISSN : 0289-7024
ISSN-L : 0289-7024
症例報告
SARS-CoV-2ワクチン接種後に発症した視神経炎の5例
山崎 美香岩佐 真弓山上 明子塩川 美菜子井上 賢治若倉 雅登
著者情報
ジャーナル 認証あり

2023 年 40 巻 2 号 p. 137-147

詳細
抄録

 我々は,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン接種後,2か月以内に発症した視神経炎を5例経験した.2例(症例1,2)は典型的な抗myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体陽性視神経炎で1例目は片眼,2例目は両眼発症であった.3例目は,非典型的な両側抗MOG抗体陽性視神経炎にぶどう膜炎を併発していた.4例目は,非典型的な両側視神経炎であり,視神経周囲炎様の所見と著明なくも膜下腔の拡大を伴っていた.5例目は,非典型的な片眼抗MOG抗体陽性視神経炎であり,ワクチン接種から活動的な進行がみられるまで,約2か月を要していたが,ワクチン接種時期と視神経炎の発症の時期から,SARS-CoV-2ワクチンの副反応の可能性を十分考慮すべきと考えた.今回経験した5症例は,それぞれ,全く異なる臨床所見を示しており,SARS-CoV-2ワクチン接種後の視神経炎は,典型的な視神経炎を呈する症例から,一見視神経炎以外の疾患を疑うような非典型的な視神経炎まで,多様な臨床像を呈する可能性がある.また最も注目すべきことは,5例中4例で抗MOG抗体陽性であったことであり,ワクチン接種と抗MOG抗体陽性視神経炎がどのように関連しているのか,その真偽と機序の解明を待ちたい.

著者関連情報
© 2023 日本神経眼科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top