再発を繰り返し,ステロイドパルス療法(intravenous methylprednisolone:IVMP),血漿交換療法,免疫グロブリン大量静注療法(intravenous immunoglobulin:IVIG)を行うも視機能回復が困難であった小児抗myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体陽性視神経炎の1例を経験したので報告する.
症例は13歳,男児,X年10月,右眼の視力低下,眼球運動時痛を主訴に前医受診した.抗MOG抗体陽性視神経炎の診断となった.IVMP療法を2クール行い,視力は(1.2)まで改善した.2か月後プレドニゾロンによる後療法中,右眼に再発を認め,再度IVMP療法を2クール行い視力は(1.2)まで回復した.その後当院紹介となり,1か月毎の定期診察にて適宜プレドニゾロンを減量していたが,X+1年7月に再度右眼の視力低下を認め3回目の再発を認めた.IVMP療法を2クール,二重膜濾過血漿交換療法を計3回施行したが,視力の改善を認めなかった.その後ステロイドに加えアザチオプリンの併用にて後療法を開始したが,X+2年2月,左眼にも発作が生じた.再度IVMP療法を3クール,IVIG療法を行うも最終視力は,右眼(0.15),左眼(0.04)にとどまった.
治療抵抗性抗MOG抗体陽性視神経炎の症例はこれまでも散見されているが,今後急性期治療,および再発予防治療の方法について再考が必要であると考える.
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