心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
研究会(HANPフォーラム2008)
急性心不全治療のタイムコース
何を診て, 何をすべきか
安村 良男
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 41 巻 4 号 p. 480-483

詳細
抄録

急性心不全で最も高頻度に発生する病態はうっ血であり, その主な成因は, 心機能低下による低心拍出(cardiac failure)と循環血液の再分布(vascular failure)である. 治療の際には, どちらの成因によるものかを考慮して適切な治療法を選択することが重要である. 肺うっ血の診断法として, 胸郭インピーダンス法(ICG)を用いた非侵襲的な胸郭体液量(TFC)測定の有用性を検討した結果, TFCは急性心不全の経過や予後指標として有用であることが示された. 心不全による肺うっ血および肺水腫の治療は, 初期治療として硝酸薬スプレーの後, ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP: カルペリチド)を投与する. カルペリチドは血管拡張作用と利尿作用に加えて, 神経体液性因子を抑制する多面的作用を有するため, いずれの成因によるうっ血でも基礎薬として使用できる. また, 低血圧が認められた場合は病態をチェックし, 低心拍出と診断したら早期に強心薬を用いることが重要である.

著者関連情報
© 2009 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top