2009 年 41 巻 4 号 p. 484-487
慢性心不全では交感神経系やレニン·アンジオテンシン·アルドステロン(RAA)系に代表される神経体液性因子の亢進を抑制することにより長期予後が改善するが, 最近, 急性期においても神経体液性因子や炎症, 酸化ストレスが病態の増悪と長期予後に関与することが明らかになってきた. また, これらの因子は特に腎障害を合併した急性心不全において悪影響を及ぼすことから, 心腎連関を考慮した治療が長期予後の改善に必要とされる. 本稿では, 心不全治療における神経体液性因子抑制の意義と方法, 心腎連関のメカニズム, 心腎連関と長期予後を考慮した心不全治療におけるカルペリチドの役割について述べる.