心臓
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症例
著明な漏斗胸に左室収縮障害を合併した1兄弟例
大江 康太郎荒木 勉
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2009 年 41 巻 8 号 p. 960-965

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抄録

症例は56歳, 男性(兄). 数年前より高血圧を指摘されていたが無治療であった. 夜間の咳にて来院. 身体所見では著明な漏斗胸と外反肘, 胸部X線写真にて心拡大を認めた. 心エコー図上, 左室肥大, 左室拡大, 左室収縮障害(左室駆出率(EF) 21%)を認めた. 冠動脈造影上, 器質的狭窄なし. 左室造影では, び漫性の収縮低下を認め, 高血圧性心疾患と診断された. 後日, 弟(51歳男性)が, 感冒にて来院. 兄と同様の著明な漏斗胸と心拡大を認めた. 心エコー図にて左室拡大と左室収縮障害(EF 42%)を認めた. 冠動脈造影上, 器質的狭窄なし. 左室造影では, 左室拡大と前壁, 心尖部を中心に収縮低下を認め, 拡張型心筋症と診断された. 兄は当初, 高血圧性心疾患と診断されていたが, 家族歴, 左室拡大, 著明なEF低値より, 拡張型心筋症の合併が疑われた. 兄のみ染色体検査を施行したが, 異常は認めなかった. 家族歴では父と母は二重の血族結婚で, 父と妹, 2番目の弟も漏斗胸であった. 父, 母には明らかな心疾患は認めなかった. 漏斗胸と心筋症の関連は不明であり, 過去に報告もなく, 稀な症例と考え報告する.

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© 2009 公益財団法人 日本心臓財団
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