心臓
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第21回 心臓性急死研究会
良好な社会復帰に許容される心停止時間と低体温療法についての検討
香川 英介井上 一郎河越 卓司石原 正治嶋谷 祐二栗栖 智中間 泰晴丸橋 達也臺 和興松下 純一池永 寛樹
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2009 年 41 巻 SUPPL.3 号 p. S3_155-S3_158

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抄録
 背景 : 心肺停止患者に対し低体温療法を行うことで社会復帰率が上昇することが報告されている.  目的 : 良好な社会復帰 (FR) 可能な心停止時間について検討した.  方法 : 2003年から2008年に低体温療法を行った80人 (HT-group) と, 2007年4月から2008年5月までの院外心肺停止患者で, 自己心拍は再開したが低体温療法は行われなかった174人 (NT-group) を対象とした. 心停止時間は心肺停止から自己心拍の再開もしくは体外循環の開始までの時間と定義した.  結果 : FRはHT-groupで30人, NT-groupで20人であった. FRにおいてはHT-goupの方がより若年であった. FRに関して心停止から心拍再開もしくは体外循環の開始までの時間は独立した予後因子であった (OR 1.07, 95%CI 1.02-1.13, p<0.01). FRにおける心停止時間は低体温療法を行ったもので有意に短かった (26±15 vs 12± 5分, p<0.01).  結語 : 低体温療法により良好な社会復帰に許容される心停止時間は延長する.
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© 2009 公益財団法人 日本心臓財団
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