抄録
症例は68歳, 男性. 44歳時広範囲前壁中隔梗塞を発症し, 術前精査目的に当科紹介された. 冠動脈造影 (CAG) にて左前下行枝#6の慢性完全閉塞 (CTO) を認め, 経皮的冠動脈形成術 (PCI) の適応を外来にて検討中, 自宅で心室細動 (VF) となり, 救急隊の自動体外式除細動器 (AED) にて除細動後, 入院した. 緊急CAGでは新規病変を認めず, 待機的に#6に対してPCIを施行後, 植込み型除細動器 (ICD) 植え込み術を施行した. ICDリードを右室心尖部に留置したところ術中の作動テストにおいて通常の二方向性DCでは, 35JでVFは停止しなかった. 上大静脈コイルを取り外しICD本体-右室心尖部コイル間の一方向性へ変更しDC25JにてVFの除細動に成功した. 1週間後の作動テストではDC25JでVFの除細動に失敗し, 10Jセーフティマージンが得られなかった. 皮下アレイリード追加やICDリードの右室流出路へ変更では除細動閾値低下を認めなかった. 後日, 中心静脈へICDリード留置を行い, 誘発されたVFはICD本体-中心静脈コイル間DC25Jで除細動された. 高除細動閾値の予測因子として左室や左房の内径拡大, NYHA分類IIIもしくはIV度の心不全, 低心機能, アミオダロン内服などが報告されている. 本症例のような左室拡大を認める高除細動閾値症例では, 除細動閾値の低下に中心静脈へのリード留置も考慮すべき方法と考えられた.