抄録
症例は58歳, 女性. 主訴は動悸・息切れ. 55歳時に初回の心不全で入院. 冠動脈造影検査で有意狭窄なく, 心筋生検でも非特異的な所見のみ. HR 130/分台の頻脈性心房細動を認めたが, 低心機能と低血圧のためβ遮断薬は増量困難であり, rate controlは困難. その後, 一度DCにて洞調律に復帰したが, 2週間後には心房細動が再発・持続した. 心不全の増悪傾向を認め, 心房細動に対しカテーテルアブレーションを施行. アブレーション+電気的除細動(200J)にて洞調律に復帰したが, 洞調律維持のため, Amiodarone内服を併用. 術翌日, 洞性徐脈と著明なQT延長を認め, R on TのPVCから心室細動となり, 電気的除細動(200J)にて蘇生. 一時的ペーシングカテーテルによる高頻度心房ペーシングを施行し, 以後心室細動の出現なし. 拡張型心筋症の可能性も否定できず, 植込み型除細動器(ICD)植え込み術施行. 以後, 洞調律または心房ペーシングにて経過し, 心房細動の再発や心室細動の出現は認めず.