心臓
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第22回 臨床不整脈研究会
アブレーション後慢性期に治癒した左室後乳頭筋起源心室性期外収縮の1例
入江 忠信金古 善明中島 忠齋藤 章宏太田 昌樹加藤 寿光飯島 貴史秋山 昌洋伊藤 敏夫間仁田 守倉林 正彦
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2010 年 42 巻 SUPPL.4 号 p. S4_108

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抄録

症例は, 59歳, 男性. 動悸を伴う右脚ブロック上方軸波形の心室性期外収縮(PVC)を有し, 明らかな基礎心疾患を認めなかった. CARTO merge画像にて左室後乳頭筋(PPM)が心基部側から左室壁側にかけて良好に描出された. PVC時の左室のactivation mapは, PPMの左室壁側を最早期とするfocal patternを呈したが(V-QRS: −23ms), 同部位での通電では無反応であった. 一方, 通電中から一過性のPVCの抑制を認めた計12回の通電部位は, 主にPPMの心基部側に集中していた. PVC時にprepotentialが記録されたが洞調律時にはプルキンエ電位は記録されなかった. アブレーションは不成功であったが, 1カ月後に5万発/日を認めたが, PVCが4カ月後から消失した. 僧帽弁逆流の増悪を認めなかった. PVCの起源は, PPMの心基部側深層にあり, 焼灼後の心筋リモデリングにより治癒したと考えられた.

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© 2010 公益財団法人 日本心臓財団
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