2010 年 42 巻 SUPPL.4 号 p. S4_108
症例は, 59歳, 男性. 動悸を伴う右脚ブロック上方軸波形の心室性期外収縮(PVC)を有し, 明らかな基礎心疾患を認めなかった. CARTO merge画像にて左室後乳頭筋(PPM)が心基部側から左室壁側にかけて良好に描出された. PVC時の左室のactivation mapは, PPMの左室壁側を最早期とするfocal patternを呈したが(V-QRS: −23ms), 同部位での通電では無反応であった. 一方, 通電中から一過性のPVCの抑制を認めた計12回の通電部位は, 主にPPMの心基部側に集中していた. PVC時にprepotentialが記録されたが洞調律時にはプルキンエ電位は記録されなかった. アブレーションは不成功であったが, 1カ月後に5万発/日を認めたが, PVCが4カ月後から消失した. 僧帽弁逆流の増悪を認めなかった. PVCの起源は, PPMの心基部側深層にあり, 焼灼後の心筋リモデリングにより治癒したと考えられた.