心臓
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第22回 臨床不整脈研究会
冠状静脈洞内部と入口部を最早期とする2種類のATを呈した1例
飯田 剛幸岡本 奈美二階堂 暁滝川 道生森田 典成及川 恵子清岡 崇彦小林 義典
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2010 年 42 巻 SUPPL.4 号 p. S4_31-S4_37

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抄録
症例は71歳, 女性. 30歳ころより動悸を自覚するも放置. 数日前から動悸が毎日あるため, 当院を受診. 心電図上, 心拍数150/分の上室性頻拍を認め, ATP10mgにて洞調律へ服するも心房期外収縮(APC)を契機に同頻拍は再発した. 心臓電気生理学的検査(EPS)にてAPCを契機に冠状静脈洞(CS)内部を最早期とする頻拍の自然発作を認め, ATP 5mgにて同頻拍は頻拍周期の延長に伴い停止した. また, この頻拍はCS入口部を最早期とする頻拍へ自然移行した. これら2つの頻拍中の心房興奮順序は心室ペーシング時と異なっていた. 心房および心室期外刺激で心房-ヒス束間の伝導時間にjump upは認めず, ATと考えられた. CS入口部にアブレーションカテーテルを留置後, bump現象により両頻拍は, 全く誘発不能となった. Bump現象が生じたCS入口部で通電を施行. その後にイソプロテレノール投与下に誘発を試みたが, 頻拍出現なく終了とした. CS入口部の1回の通電により2種類のATが同時に治療し得た症例を経験したので報告する.
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© 2010 公益財団法人 日本心臓財団
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