心臓
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第23回 臨床不整脈研究会
3種類のPSVTが誘発され, nodoventricular accessory pathwayが示唆された顕性WPW症候群の1例
吉原 弘高川崎 智広牧野 仁人高瀬 哲郎中村 龍太海老原 敏郎谷口 優清水 しほ廣瀬 信登根 健太郎板倉 靖昌新田 正光吉田 俊彦橋本 亨倉持 雄彦三角 和雄
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2011 年 43 巻 SUPPL.3 号 p. S3_12-S3_20

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抄録
症例は44歳, 女性. 以前よりWPW症候群を指摘され, 失神前駆症状を伴う動悸のため当院へ紹介された. 12誘導心電図では, 後中隔副伝導路が示唆されたが, 心臓電気生理学的検査時は複数のQRS波形が認められ, 副伝導路が複数存在する可能性も示唆された. 上室性頻拍(PSVT)は3種類誘発され, いずれも左脚ブロック型のwide QRS頻拍であり, PSVT1とPSVT2は同一のQRS波形で, 心内の興奮伝播様式も同一であったが, VAおよびAV間隔が異なり相互の移行も認められた. PSVT3は前2者とは異なりデルタ波の極性と一致したQRS波形であった. また, 心房期外刺激ではjump up現象とそれに伴い副伝導路の伝導途絶が認められた. これらの一連の挙動は副伝導路としてnodoventricular accessory pathwayを想定すると説明可能であり, 洞調律下に最早期心室波を指標としてカテーテルアブレーションを行い, 副伝導路の離断後はいずれのPSVTも誘発不能となった. Nodoventricular accessory pathwayは非常に稀であり, 結節および心室端の付着部について考察を加え報告する.
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© 2011 公益財団法人 日本心臓財団
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