抄録
症例は, 70歳代, 女性. 他院で心不全と診断され治療を受けていたが, 2009年秋, 当科にうっ血性心不全で入院した. 慢性心房細動で, 心エコー図上, 左室壁運動は, び漫性に低下しLVDd 73mm, LVDs 66mm, EF 0.2, MR3度, AR1度だった. 冠動脈造影検査で有意狭窄はなかった. 1カ月, 3カ月後にも心不全入院あり, CRT+房室結節アブレーションを選択した. 治療は奏功したが2カ月に再度入院した. このときVPCが1日25,000発以上ありペーシング率低下が心不全の原因であると考えられた. ほとんどが左軸偏位, 左脚ブロック型のもので, 安静と利尿により心不全が改善した後も同頻度だった. このため, VPCに対する高周波カテーテルアブレーションを行った. VPCの最早期興奮部位は右室のHis束近傍にあり, この部位の1回の通電で完全に消失した.