抄録
症例は80歳, 女性. 肺サルコイドーシスの診断で通院中であった. 1985年完全房室ブロックを認め, ペースメーカー植え込み術を施行. 2005年12月血行動態不安定な心室頻拍(VT)による失神で入院し, 2006年1月植込み型除細動器(ICD)移植術を施行した. その後は安定していたが, 2010年4月にVTによるICD頻回作動を認めたため, アブレーション目的で入院となった. 左室造影検査では左室下壁基部に心室瘤を認め, EFは40%であった. 電気生理学的検査を行ったところ, 右室心尖部からの2発期外刺激で再現性をもって単型性VTが誘発された. CARTO voltage mappingでは左室瘤内を含め, 左室内には低電位領域は認めなかった. しかし, 洞調率時, 左室瘤内ではfractionated delayed potential(FDP)を認め, さらに心室プログラム刺激では局所心室電位とFDP時間が突然延長した際にVTが誘発された. このFDPはVT時には, late systolic potentialとmid diastolic potentialへ分離し, この左室瘤内でのペーシングでconcealed entrainment現象を認め, DP-QRS時間とS-QRS時間は一致した. VT中に心室瘤内で通電を開始し, 4秒でVTは停止した. 心室瘤内を縦断し僧帽弁輪まで線状焼灼し, いかなるVTの誘発も不能となった. 限局した左室瘤内に必須緩徐伝導路を認めた心サルコイドーシスに伴うVTを経験したので報告する.