心臓
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症例
卵円孔開存症および肺塞栓症によるplatypnea-orthodeoxia syndromeの1例
木村 俊之清水 紀宏吉谷 敬松谷 健一松本 純一平林 高之馬場 俊雄佐々木 昭彦
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2012 年 44 巻 1 号 p. 83-87

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抄録

症例は, 82歳, 女性. 呼吸苦を主訴に来院した. 受診時, 著明な低酸素血症を認め, 胸部造影CTにて肺塞栓症と診断. 入院後より抗凝固療法を開始し, 低酸素血症は改善され退院したが, 再び低酸素血症が増悪し, 再入院となった. なんらかのシャント疾患も疑い経胸壁コントラスト心エコーを施行し, 右左シャントの存在を確認した. SpO2は仰臥位から座位への体位変換で著明に低下し, 体位に依存して右左シャントが出現することが疑われた. 経食道コントラスト心エコーにより, 卵円孔開存症と臥位から座位への変換で右左シャント量が増大することを確認し, platypnea-orthodeoxia syndromeと診断した. 卵円孔閉鎖術を行い, 低酸素血症の著明な改善を認めた. 術後は日常生活動作も向上し, 酸素投与なしで退院となった. Platypnea-orthodeoxia syndromeは稀な疾患である. 本症例において, 右心カテーテル検査では肺高血圧は認めておらず, 肺塞栓症による長期間の右心系圧負荷が拡張不全をもたらし, 卵円孔を介して右左シャントを形成したと考えられる.

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© 2012 公益財団法人 日本心臓財団
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