心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
第24回 心臓性急死研究会
濃厚な突然死の家族歴を有する心室細動を起こした肥大型心筋症の1例
小松 靖五関 善成肥田 敏齋籐 龍小平 真理齋籐 友紀雄矢崎 義直平野 雅春山科 章
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_117-S2_121

詳細
抄録
症例は22歳,男性.学校の授業で短距離走を行った直後に意識消失した.心室細動(VF)を認め,自動体外式除細動器(AED)にて4回DC施行後,自己心拍再開し,当院へ搬送された.低体温療法施行後3日目に抜管し,神経学的異常は認めなかった.心臓超音波検査および心臓MRIでは,心室中隔から心尖部にかけて肥厚を認めたが,流出路狭窄は認めなかった.冠動脈造影では有意狭窄を認めず,心筋生検では心筋線維の錯綜配列を認めた.レートポテンシャルは陰性であったが,右室心尖部からの期外刺激でVFが誘発された.また,判明した範囲内であるが,家族歴として母方の6等親内で8人の突然死を認めた.以上より突然死の家族歴を有する肥大型心筋症と診断し,2次予防目的で植込み型除細動器(ICD)植え込み術を施行し退院となった.本症例はVFが初発症状であり,今後,特に症状を有しない兄弟に対するリスク評価も必要と考えられ,若干の文献的考察を加えて報告する.
著者関連情報
© 2012 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top