心臓
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第24回 心臓性急死研究会
WPW症候群に伴う心室細動に対し低体温療法を行い社会復帰まで改善した1例
近藤 清乃平岩 宏章近藤 徹青木 聡一郎足立 史郎長尾 知行谷村 大輔加藤 俊昭石原 大三佐野 宏明淡路 喜史加藤 林也
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2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_17-S2_23

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抄録

症例は35歳,男性.夜間起床時に突然心肺停止となり,当院救命センターへ搬送された.Bystander CPRがあったが,救急車内での初期波形は心室細動(VF)であった.洞調律化までに複数回の除細動を要した.搬送直後より34度を目標とした低体温療法を開始した.低体温療法終了後は高次機能障害なども残さず健常時と同様の生活が送れる程となった.洞調律時の心電図にてA型WPW症候群を認めた.EPSではKent束を左室自由壁に認め,順伝導のKent束の不応期は200msであった.アブレーションを行いKent束離断に成功した.サンリズム負荷,アセチルコリン負荷試験は陰性であり,VFは誘発されなかったが,非持続性心室頻拍が誘発された.Pseudo VTが原因のVFと考えられた若年のCPAであったが,低体温療法により良好な脳機能回復を得て社会復帰が可能となった貴重な症例であるため報告する.

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© 2012 公益財団法人 日本心臓財団
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