抄録
背景:致死性不整脈の救命の手段として自動体外式除細動器(AED)が普及したが,病院内においてもその例外ではなくco-medicalによる救命も期待される.
症例:53歳,男性.2010年11月初旬前壁梗塞にて入院.前下行枝の完全閉塞に対してステント留置を行った.第3病日にICUから一般病棟へ移りリハビリ経過良好であったが,第6病日未明に突然の心室細動(VF)をきたし病棟ナースによるAED使用による除細動により洞調律へ復帰した.装着中であったホルター心電図記録にてR on Tの心室期外収縮(PVC)からVFへ移行したことを確認した.冠動脈の血栓閉塞などは否定し,アミオダロンを導入した.その後の電気生理学的検査(EPS)にてVFが誘発され植込み型除細動器(ICD)植え込みを施行し脳虚血の後遺症なく良好な経過である.
考察:病院の一般病棟ではICUと異なり,常に医師が常駐するわけでなく,緊急時のVFの対処にはco-medicalによるAEDの使用が有用と考えた.