心臓
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症例
大動脈弁閉鎖不全症を伴った冠動脈肺動脈瘻に対して外科的治療を行った1例
佐藤 晃一津田 晃洋津田 達徳緑川 博文高野 隆志
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2013 年 45 巻 7 号 p. 824-829

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抄録

症例は,64歳,男性.労作時息切れで来院,連続性心雑音を聴取する心疾患で精査入院した.心エコー検査,心臓造影CT(心臓CTA)検査,心臓カテーテル検査より,大動脈弁閉鎖不全症Ⅲ度を伴った冠動脈肺動脈瘻と診断した.冠動脈瘻は円錐枝および左回旋枝より認め,両者は合流し右肺動脈後下方に流入していた.左回旋枝は低形成であり,左冠動脈からの順行性血流は非常に少なく,右冠動脈優位の血流支配であった.左右短絡率は46%と瘻孔からの短絡量は大きく,大動脈弁置換術に加え,肺動脈切開による瘻孔直接閉鎖術を施行した.術後心雑音,左右短絡は消失した.術後冠動脈造影では,左回旋枝へは順行性の血流は乏しく,円錐枝から冠動脈瘻を介して造影された.左回旋枝の供給血管が冠動脈瘻であり,血行動態の変化には,今後注意深い経過観察が必要である.

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© 2013 公益財団法人 日本心臓財団
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