心臓
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第25回 心臓性急死研究会
ソタロール中毒の 1例
城 日加里原 幹政田 賢治梶原 真二小野 裕二郎柳原 薫
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2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_112-S2_115

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抄録

 症例は69歳, 女性. 肥大型心筋症, 心室頻拍, 慢性腎不全 (人工透析) にて他院通院中. アミオダロン内服していたがKL-6上昇のため, ソタロール40 mg ( 1×) に変更された. ソタロールを 2日間服用した後, 気分不快, 呼吸苦を訴え, 救急要請した. 搬送された病院で, 急速に意識レベルが低下し, 痙攣を認めたため, 気管内挿管の上, 当院転送となった. 来院時, 血圧85/., 心電図では洞性徐脈 (40/分) とQT延長, また, 胸部X線写真で肺水腫の所見を認めた. 血糖値は 8mg/dLで, グルコース静注したが, 意識障害は遷延した. その後, torsades de pointes (TdP) から心室細動に移行し, 電気的除細動を行った. 低血圧, 徐脈, 低血糖, 意識障害というβ遮断薬中毒症状とTdPからソタロール中毒と判断し, 薬剤中止のうえ, 透析を連日行ったところ, 諸症状は改善した. アミオダロン服用, 腎不全の存在により, ソタロール40mgの 2回の服用で重篤なソタロール中毒症状が出現したものと考えられた.  ソタロールはβ遮断作用とKチャネル阻害作用をあわせ持つⅢ群抗不整脈薬で, 心室性不整脈および上室性不整脈に対する有効性が証明されており, 臨床現場でも頻用されている.  今回, われわれは, ソタロール40mg 2回の服用で, 著明な低血糖, 意識障害, 痙攣, 心不全で発症し, 診断に苦慮したソタロール中毒の透析患者症例を経験したので報告する.

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© 2013 公益財団法人 日本心臓財団
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