2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_15-S2_18
症例は47歳, 男性. 失神の既往, 突然死の家族歴はなし. 冠危険因子は喫煙のみであった. 早朝に路上で胸痛を自覚, 救急要請をした後に卒倒, 心室細動 (VF) が確認され, 自動体外式除細動器 (AED) 1回施行後に心静止となった. 病院到着後も心室頻拍 (VT) /VFを数回認めたが, アミオダロン静注後に消失した. 心電図ではST上昇やQT延長は認めなかった. 冠動脈造影にて有意狭窄は認めなかったが, 左室造影ではたこつぼ型心筋症様の壁運動異常を認めた. 冠攣縮によるVFと考え, Ca拮抗薬と硝酸薬の投与, 低体温療法を施行し, 後遺症なく社会復帰した. 退院後にsaddleback型ST上昇を認め, Brugada症候群が疑われたため, ピルジカイニド負荷を施行したが変化は認めなかった. 心肺蘇生後であることを考慮し, 電気生理学的検査 (EPS) も施行したが, VT/VFは誘発されなかった. VFの原因として冠攣縮, たこつぼ型心筋症, Brugada症候群が疑われる興味ある症例と考え報告する.