心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
第25回 心臓性急死研究会
甲状腺機能亢進症が誘引となり冠攣縮性狭心症から心室細動をきたした 1例
根木 謙鈴木 紅立石 和也宮坂 政紀金子 雅一阿部 裕之黒木 識敬淺見 貞晴弓場 隆生岩間 徹磯部 光章
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_32-S2_36

詳細
抄録

 症例は61歳, 女性. 以前より冠攣縮性狭心症で通院していたが, Ca拮抗薬単剤で胸部症状なく経過していた. 2012年春ごろより寒い日の午前中に軽労作で胸部圧迫感を生じるため, 冠動脈造影を施行したが, 冠動脈狭窄を認めず, 以後胸部症状なく経過していた. 2カ月後の定期外来受診時に洞性頻脈を認めたため, 甲状腺機能採血を行い帰宅した. しかし, 3日後の午前 5時ごろ, いびきとうめき声をあげた後, 呼吸停止となり救急搬送された. 救急隊到着時のモニター心電図で心室細動を認め, 電気的除細動で洞調律に復し心拍再開を得た. 当院到着時心電図で下壁・側壁誘導のST上昇を認めたが, Nicor-andil静注開始後, 速やかにST上昇は消失した. 低体温療法を行い, Basedow病と診断されたことからThi-amazole内服を開始し, Ca拮抗薬増量とNicor-andil継続により冠攣縮発作の再発なく経過し独歩退院となった. また, 本例では急性期に一過性のJ波の出現を認めた. 甲状腺機能亢進症の発症により冠攣縮発作が再燃し, 心室細動を生じた 1例を経験したため報告する.

著者関連情報
© 2013 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top