心臓
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第25回 心臓性急死研究会
重度冠攣縮 (VSA) により致死的不整脈が発生し, 経皮的心肺補助 (PCPS) を用いて救命しえた 2症例
浅野 充寿沖重 薫倉林 学岩井 慎介加藤 信孝井原 健介志村 吏左鈴木 秀俊畠山 祐子青柳 秀史
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2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_44-S2_49

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抄録

 重症冠攣縮 (VSA) に伴い致死的不整脈が発生し, 経皮的心肺補助装置 (PCPS) を用いて救命しえた 2症例を経験した.  症例 1は68歳, 男性. 既往歴に陳旧性前壁心筋梗塞があり, 院外心肺停止に対してCRTDが埋め込まれていた. 午前 8時に気分不快を訴えた後CPAとなった. 救急隊現着時はPEAであったが, 来院時自己心拍再開していた. ICUに入室後に心室細動 (VF) stormとなりPCPSを挿入した. CAGでは 3枝とも高度狭窄を認め, イソソルビド冠注で完全に解除されVSAと診断された.  症例 2は66歳, 男性. 失神発作を契機にVSAと診断され, アムロジピンを内服していたが, 胃癌摘出術のため, 内服を中止されていた. 術後 3日間はニコランジルを持続点滴投与されていたが, 同剤中止し 4日目よりイソソルビド貼付薬のみに変更していた. 10日目に気分不快を訴え意識消失しVFを確認した. PCPS挿入後にCAGを行ったが優位狭窄は認めなかった. ICU帰室後に突然, 下壁誘導でST上昇を認めイソソルビド静注にてST上昇は消失した. 有効冠拡張薬中止に伴い, 冠攣縮が誘発されたものと考えられた.

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© 2013 公益財団法人 日本心臓財団
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