心臓
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第25回 心臓性急死研究会
植込み型除細動器治療にて心臓突然死を回避できた多枝冠攣縮性狭心症
松岡 聡志梅谷 健藤原 裕季牧野 有高中村 政彦瀬戸 俊邦相沢 一徳
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2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_50-S2_54

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抄録

 症例は73歳, 女性. 夕食後, 自宅で会話中に突然意識消失. 家人により胸骨圧迫施行され救急要請. 救急隊到着時, 心電図波形は心室細動 (VF) . 電気的除細動 1回で心拍再開し, 当院へ搬送. 搬送時にはGCS14 (E3V5M6) , バイタルサインは安定していた. 蘇生後心電図はsinus rhythm, aV L・V4.6で陰性Tあり. 心エコーで側壁-後下壁で壁運動低下がみられたが, 冠動脈造影検査で有意狭窄なし. 冠攣縮性狭心症 (VSA) の可能性も考慮. 第 8病日にアセチルコリン負荷試験施行. LCAへ20μg負荷で全体的に攣縮が誘発. 心電図V1.4でSTが上昇し, VSAと診断. 多枝に強い攣縮が生じたことと家族の強い要望もあり, 植込み型除細動器 (ICD) を導入した. 怠薬はないが, 退院して 2年 7カ月後の午前 9時 (内服前) にICD作動. 後日ICD記録から再びVF発症し, 35Jで除細動していたことがわかった. ICD作動により心臓死を回避できた. VSAによるVF 2次予防にICD治療を行うか議論もあるが, 適応を慎重に再検討すべき症例であったため報告する.

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© 2013 公益財団法人 日本心臓財団
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