心臓
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第25回 心臓性急死研究会
運動中に意識消失し先天性冠動脈奇形を認めた 1例
橋本 英伸伊藤 博坪田 貴也大久保 亮一林 亮本多 満吉原 克則山崎 純一池田 隆徳
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2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_55-S2_59

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抄録

 症例は14歳, 男児. 12歳時に運動中に失神発作を生じたことがあり, その際に某病院で精査されたが異常は認められなかった. 2012年某日サッカーの試合中に意識消失をきたし, 心肺停止となった. 直ちにコーチによって心肺蘇生が行われ, 自動体外式除細動器 (AED) の 1回作動で自己心拍再開となった. その後, 当院 3次救急救命センターに搬送された. 当院到着時の意識レベルはJCS-300であり, 挿管・人工呼吸器管理下に脳保護目的で低体温療法 (34℃) が 2日間行われた. 後日, AEDの心電図を解析したところ, 心室細動 (VF) が記録されていた. 循環・呼吸状態に問題がなかったため, 第 7病日には抜管となった. 原因検索のため, 心臓カテーテル検査を施行したところ, 左冠動脈入口部が閉鎖しており, 左冠動脈の血流は右冠動脈からの側副血行路で供給されていた. 冠動脈バイパス術を施行する方針となった. 先天性冠動脈奇形に起因して運動中にVFをきたし, 蘇生された小児例は稀であり, 文献的考察を含めて報告する.

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© 2013 公益財団法人 日本心臓財団
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