心臓
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一般演題
右側前中隔の通電で根治し速伝導路も温存されたfast-slow form of atrioventricular nodal reentrant tachycardiaの1例
坂部 茂俊神山 崇石山 将希森 一樹森脇 啓至杉本 匡史掘口 昌秀高村 武志世古 哲哉笠井 篤信
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2014 年 46 巻 SUPPL.3 号 p. S3_14-S3_20

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抄録

 発作性上室頻拍 (PSVT) をもつ70歳代女性に対し高周波カテーテルアブレーションを行った. 心室早期刺激により, V-A-V sequenceでlongR-P' tachycardia (PSVT1) が誘発された. PSVT1の心房波は冠静脈洞入口部 (CSO) がヒス (His) 束より早かったが, 別のlongR-P' tachycardia (PSVT2) に移行し, PSVT2では心房波はHis束がCSOより早かった. 2つの頻拍は互いにswitchしmappingが困難であったため, まず稀有型房室結節リエントリー性頻拍と考えられるPSVT1を治療することにした. 洞調律下のslow pathway potentialを指標にCSO前方で通電したところ, PSVT2のみが誘発されるようになった. CARTO systemで作成したPSVT2のactivation mapでは, 心房波はHis束近傍が最早であった. アブレーションカテーテルを前中隔におき, 最大His束電位が得られる部位から後上方に約5mm移動し, His束電位を記録しないことを確認し通電したところ, 約2秒で頻拍は停止し, いずれの頻拍も誘発されなくなった. PSVT2はfast/slow型AVNRTとATP感受性心房頻拍との心房頻拍を鑑別が困難であった.

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© 2014 公益財団法人 日本心臓財団
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