心臓
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一般演題
Marshall静脈への化学的アブレーション法がMitral isthmusの両方向性伝導ブロック作成に有用であった持続性心房細動の1例
山下 光美沖重 薫岩井 慎介加藤 信孝長谷川 智明川口 直彦青柳 秀史
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2014 年 46 巻 SUPPL.3 号 p. S3_166-S3_171

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抄録
 症例は65歳男性. 持続性心房細動に対する初回アブレーション目的で当院紹介となった. 選択的カテーテル挿入法を用いてMarshall静脈 (MV) への無水エタノール注入 (EI) を施行. その後, 両側肺静脈拡大隔離術に移行したが, MVへのEIにより左肺静脈後壁側は広範に障害されすでに伝導ブロック領域を形成しており, 前壁のみへの通電で左側上下肺静脈電気的隔離を達成し得た. さらにcontact force (CF) ガイド下にすでにEIにより部分的に傷害されたMVに沿った電位残存部位に対して順次焼灼を行い, CF 10grams以下の数回の通電によりMitral isthmus (MI) の両方向性伝導ブロックを完成し得た. 通常, MIの伝導ブロックの作成は難渋することが多く, 過度な出力の通電や心房壁への過度の押しつけは心タンポナーデのリスクになり得る. 本症例はMVへの化学的アブレーションを併用することにより, 比較的容易にMI伝導ブロックを安全に作成することが可能であると考えられた.
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© 2014 公益財団法人 日本心臓財団
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