2014 年 46 巻 SUPPL.3 号 p. S3_212-S3_218
46歳男性, 既往に前壁OMI. 3枝病変による不安定狭心症に対し, CABG施行. 術後6日後よりNarrow QRS PVCを契機に, QRS軸の変化する多形性VTが出現した. 各種治療無効でVT stormとなり, 術後13日目にtriggered PVCを指標に, アブレーションを施行. 低電位領域を左室内apex~midの前側壁に認めた. 同部位辺縁で, アブレーションカテーテル (Abl) 電極にて, 近位から遠位への興奮順序 (sequence) を伴うPurkinje電位記録部位においてSpike-QRS 56msの潜時を伴うPerfect mapを得た. 同部位で, 多形性VTの自然発作が記録され, Poly VT時, Abl電極でPurkinje電位を認め, 体表面QRSに64ms先行していた. 多形性VT中, Purkinje電位間隔の変動が心室電位間隔の変動に先行し, Abl電極のsequence変化とQRS軸の変化が同期して出現した. 同部位の通電開始で多形性VTが出現し, 通電中に停止した. 多形性VTの維持機序に障害Purkinje網でのリエントリ関与が示唆されたので, 報告する.