心臓
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一般演題
心室中隔欠損症術後遠隔期に心機能低下と難治性心室頻拍を生じ, 心サルコイドーシスが疑われた1例
佐々木 直子奥村 恭男渡辺 一郎永嶋 孝一園田 和正古川 力丈高橋 啓子磯 一貴大久保 公恵中井 俊子國本 聡平山 篤志
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2014 年 46 巻 SUPPL.3 号 p. S3_239-S3_246

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抄録
 症例は, 51歳, 男性. 6歳時に心室中隔欠損に対する根治術を施行された. 38歳時に他院で心房頻拍および通常型心房粗動と診断され, 2度カテーテルアブレーション (CA) を施行されている. その際, 心機能低下を指摘され, 49歳時より心室頻拍 (VT) を生じるようになり, それに伴う心不全増悪を繰り返した. 他院でVTに対するCAを施行したが, 4カ月後, 左脚ブロック, 下方軸と左脚ブロック, 上方軸の2種類のVTを認めたため, 精査加療目的に当院へ入院となった. 遅延電位は3項目陽性であり, 心臓MRIで左室中部の前中隔右室付着部および後下壁に遅延Gd造影 (LGE) を認め, 18F-FDG PET上も左室LGEと一致する部位に限局的な異常集積を認めた. 以上の所見から基礎心疾患として心サルコイドーシスが疑われた. 心臓電気生理学的検査では右室流出路自由壁側にcentral isthmusを有するVT1と右室下側壁の瘢痕領域を回路とするVT2が誘発され, VT1はCAにより停止したがVT2は完全には抑制できなかった. 心室再同期療法 (CRT-D) を導入し, 退院後ステロイド治療を開始した. 以後, VT再発および心不全増悪は認めていない.
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© 2014 公益財団法人 日本心臓財団
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