抄録
症例は, 51歳, 男性. 6歳時に心室中隔欠損に対する根治術を施行された. 38歳時に他院で心房頻拍および通常型心房粗動と診断され, 2度カテーテルアブレーション (CA) を施行されている. その際, 心機能低下を指摘され, 49歳時より心室頻拍 (VT) を生じるようになり, それに伴う心不全増悪を繰り返した. 他院でVTに対するCAを施行したが, 4カ月後, 左脚ブロック, 下方軸と左脚ブロック, 上方軸の2種類のVTを認めたため, 精査加療目的に当院へ入院となった. 遅延電位は3項目陽性であり, 心臓MRIで左室中部の前中隔右室付着部および後下壁に遅延Gd造影 (LGE) を認め, 18F-FDG PET上も左室LGEと一致する部位に限局的な異常集積を認めた. 以上の所見から基礎心疾患として心サルコイドーシスが疑われた. 心臓電気生理学的検査では右室流出路自由壁側にcentral isthmusを有するVT1と右室下側壁の瘢痕領域を回路とするVT2が誘発され, VT1はCAにより停止したがVT2は完全には抑制できなかった. 心室再同期療法 (CRT-D) を導入し, 退院後ステロイド治療を開始した. 以後, VT再発および心不全増悪は認めていない.