心臓
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[臨床研究]
冠動脈バイパス術における橈骨動脈グラフトの臨床成績と開存性の検討
高橋 辰郎申 範圭森 光晴川口 新治
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2015 年 47 巻 1 号 p. 36-41

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抄録

 橈骨動脈 (RA) を使用した冠動脈バイパス術 (CABG) の臨床成績に加え, RAの早期および遠隔期開存性を検討した. 2005年4月から2012年12月にRA使用のCABGを166例 (男/女=135/31, 平均年齢65.4歳) に施行した. 入院死亡は1例 (0.6%). 術後5年生存率は93.1%, 5年心事故回避率は97.9%. 早期開存性を158例で評価し, RA末梢側吻合数232箇所の開存率は100%であった. 同時に使用した内胸動脈 (ITA) と大伏在静脈 (SV) の早期開存率は100% (180/180), 95.3% (203/213) で, SVが劣った (p=0.001). 遠隔期開存性を (44±20カ月) を103例で評価し, RAの開存率は93.3% (139/149) で, ITAは98.2% (112/114), SVは88.1% (118/134) であった. RAの開存率はITA, SVとの間に差を認めなかった (p=0.06, 0.12). RAの吻合部位別開存率は, 左前下行枝100% (4/4), 対角枝100% (39/39), 左回旋枝91.1% (81/90), 右冠動脈93.8% (15/16) で, 対角枝と左回旋枝の間で差を認めた (p=0.04). RAグラフトの開存率は早期および遠隔期ともに総じて良好であった. 吻合部位により開存性の差を認め, グラフトデザインを考慮して使用すれば, 有用な動脈グラフトである.

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