心臓
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第27回 心臓性急死研究会
Valsalva洞限局急性大動脈解離が左主幹部を巻き込み急性冠症候群を併発した1例
安藤 薫宮本 卓也熊谷 遊橋本 直明石垣 大輔山浦 玄斎大瀧 陽一郎和根崎 真大舟山 哲佐々木 真太郎岩山 忠輝西山 悟史有本 貴範高橋 大宍戸 哲郎渡邊 哲久保田 功
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2015 年 47 巻 SUPPL.1 号 p. S1_123-S1_126

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抄録

 症例は57歳, 男性. 胸背部痛を主訴に当院へ搬送された. 来院時, 血圧60mmHg台の心原性ショックで肺水腫を呈していた. 心電図は左脚ブロック. 心エコーでは全周性の壁運動低下を認めた. 胸部CTと冠動脈造影の結果, 左冠尖に限局した大動脈解離による心原性ショックと診断し, 緊急手術を行った. 術中所見では左主幹部から2mm頭側のValsalva洞に限局した大動脈解離を認めた. Bentall手術を施行したが, ポンプ失調による多臓器不全にて第15病日に死亡した. Valsalva洞に限局した大動脈解離は非常に稀ではあるが, 致死的となる. 救命の鍵は的確な診断および迅速な外科的治療により心筋虚血時間をなるべく短くすることである. 手術までのbridgeとしての冠血流維持も重要であり, 文献的考察を含め報告する.

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© 2015 公益財団法人 日本心臓財団
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