心臓
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第27回 心臓性急死研究会
ICD適切作動により救命されたAndersen症候群の1例
石川 真司因田 恭也伊藤 唯宏水谷 吉晶長尾 知行奥村 諭加藤 寛之柳澤 哲山本 寿彦吉田 直樹平井 真理室原 豊明
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キーワード: Andersen症候群, ICD
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2015 年 47 巻 SUPPL.1 号 p. S1_153-S1_157

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抄録

 症例は26歳, 女性. 小学校検診にて多型性心室頻拍を指摘. 2004年に意識消失, 周期性四肢麻痺も出現した. 2005年に遺伝子解析を行いAndersen症候群と診断される. 2008年より当院に転院, 同年に植込み型除細動器 (ICD) 植え込み術を施行された. 以降内服により経過安定していたが, 2014年7月に自宅でICD作動し家人に連絡後意識消失, その後心室細動 (VF) に対してICDが4回作動し心拍再開となり近医へ救急搬送された. 自己心拍は再開していたものの意識障害が遷延していたため集中治療室へ緊急入院, 人工呼吸器管理となった. 入院翌日には抜管, 第3病日に当院へ転院搬送となった. 明らかな神経学的後遺症は認められなかった. 本人への問診から内服がほぼ遵守されていなかったことが判明し, また仕事も繁忙期で深夜までの残業を繰り返していた. 内服再開後はVFの再発なく軽快退院となった. Andersen症候群は不整脈, 周期性四肢麻痺, 形態異常を特徴とし遺伝子KCNJ2に変異を認める遺伝性疾患であり, 先天性QT延長症候群7型に位置づけられる. 本症候群では心停止や急死例は少ないとされ, 治療法も未だ確立されていない. ICDの治療効果を考える上で貴重な症例のためここに報告する.

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© 2015 公益財団法人 日本心臓財団
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