心臓
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第27回 心臓性急死研究会
再発性失神の誘因として胸腹腔内圧上昇が疑われた閉塞性肥大型心筋症の1例
西村 卓郎白井 康大田尾 進佐々木 毅川端 美穂子笹野 哲郎合屋 雅彦平尾 見三
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2015 年 47 巻 SUPPL.1 号 p. S1_20-S1_25

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抄録

 閉塞性肥大型心筋症 (HOCM) では心室頻脈による失神/突然死のリスクが存在する. 症例は68歳男性. 4年前, 労作時失神をきたし他院に入院. 心臓超音波で左室壁肥厚を認め, ドブタミン負荷にて高度の左室内圧較差が誘発された. HOCM関連性失神と診断されβ遮断薬内服, VVIペースメーカー植込みにて経過観察されていた. しかし, 頭部外傷を伴う失神が数度にわたり立位動作時などに出現し精査のため当院へ入院となった. 失神時のペースメーカーには不整脈は記録されていなかった. ビソプロロール, シベンゾリン内服下に実施した左室カテーテル検査ではValsalva手技にて160mmHgと高度の左室内圧較差が誘発され, 同時に動脈収縮期血圧は60mmHgまで低下した. 本例は薬物治療にもかかわらず, 胸腹腔内圧上昇を契機とする左室内圧の高度上昇が原因となって非頻脈性失神を繰り返したと考えられ, 考察を含めて報告する.

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© 2015 公益財団法人 日本心臓財団
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