心臓
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第27回 心臓性急死研究会
Torsades de pointesを繰り返したアルコール性心筋症によるQT延長症候群の1例
大森 寛行溝口 達也野田 翼中須賀 公亮蓮尾 隆博関本 暁猪又 雅彦吉田 孝幸玉井 希佐伯 知昭伊藤 重範村上 善正佐藤 孝一
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2015 年 47 巻 SUPPL.1 号 p. S1_26-S1_31

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抄録

 症例は55歳, 男性. アルコール依存症. 平成26年6月上旬にうっ血性心不全となり入院したが, torsades de pointes (以下TdP) stormとなった. 心電図ではQT延長, R on T型の心室期外収縮を認め, 心エコーでは左室駆出率25%と心機能が低下していた. 冠動脈は有意狭窄を認めなかった. アルコール離脱症状にて不穏が強く, 人工呼吸器管理下の鎮静, 薬剤, 一時的ペーシングなどで徐々に安定した. その後, 心電図や心機能も改善し, 退院となった.

 本症例は, 純アルコール換算で, 1日に110g~160gの飲酒を15年間続けており, アルコール依存によるQT延長がTdP stormの原因と考えられた. 心筋病理では, 特発性拡張型心筋症に類似した所見が見られ, 断酒後に心機能が改善していることからアルコール性心筋症と診断した. TdPを繰り返した, アルコール性心筋症によるQT延長症候群の1例を経験したため報告する.

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© 2015 公益財団法人 日本心臓財団
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