心臓
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第27回 心臓性急死研究会
プロカインアミド導入後のQT延長による心肺停止を認めた肥大型心筋症の1例
蘆田 健毅貴島 秀行小谷 健峰 隆直増山 理
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2015 年 47 巻 SUPPL.1 号 p. S1_32

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抄録

 症例は62歳男性で僧帽弁逸脱症に対して弁形成術後, 維持透析中である. 術後経過フォロー中に以前から指摘された肥大型心筋症が顕在化し左室流出路障害を認めた. β遮断薬単剤では症状コントロールが難しくプロカインアミド750mg/日を投与開始した. 症状は改善したが, 3週間後の外来でQT時間の延長 (531ms) を呈したために500mgに減量した. しかしその翌日に心肺停止状態に陥り, 当院に高次医療搬送された. AEDの初期波形は心室細動であった. 入院時のQT時間も531msと延長し, プロカインアミド血中濃度は2.6 μg/mLと正常だが, 代謝産物であるNアセチルプロカインアミドは27.7 μg/mLと高値を示した. 入院後は同剤の中止でQT時間は正常化し, 神経学的後遺症を残さず37日目に独歩退院した. プロカインアミドは代謝産物も抗不整脈作用が知られており, 文献的な考察も交えて報告する.

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© 2015 公益財団法人 日本心臓財団
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