2015 年 47 巻 SUPPL.2 号 p. S2_11-S2_20
症例1 : 心臓電気生理学的検査 (EPS) にて周期340msのATP感受性His束近傍リエントリー性心房頻拍が誘発された. 高位後壁右房からペーシングを行ったところ, 高位後壁右房はantidromicにcaptureされ, His束と冠静脈洞入口部はorthodromicにcaptureされた. 最早期興奮部位 (EAAS) では, His束電位が記録されたため, EAASからペーシングサイトに向かって7.1mm離れた部位で通電し成功した.
症例2 : EPSにて周期380msのATP感受性His束近傍リエントリー性心房頻拍が誘発された. EAASをHis束より9.5mm上方の前中隔に認めた. 右心耳からの頻回刺激にて, 右心耳はantidromicに捕捉され, EAAS, His束, 冠静脈洞入口部はorthodromicに捕捉された. EAASからペーシング部位に向かって7.7mm離れた部位で通電し成功した.
症例3 : EPSにて周期370msのATP感受性His束近傍リエントリー性心房頻拍が誘発された. 右房各所からペーシングを加えるも, orthodromic capture得られず. 無冠尖で得られたEAASに対する通電にて頻拍の根治に成功した.
頻拍中にentrainmentとorthodromic captureが認められた場合は頻拍のentrance siteで, entrainmentが得られない場合は無冠尖のEAASでの通電が有効であった.