心臓
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第27回 臨床不整脈研究会
先天性左前下行枝閉鎖症を伴い下側壁誘導にJ波を示した若年心室細動発症の1例
篠原 徹二福井 暁山口 尊則石井 悠海大坪 豊和岡田 憲広油布 邦夫中川 幹子高橋 尚彦
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2015 年 47 巻 SUPPL.2 号 p. S2_219

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抄録

 症例は18歳男性. 2014年2月, バスケットボールの休憩中に突然心肺停止となり, 同級生によるbystander CPRおよびAED (VF documented) によって電気的除細動された. 近医に緊急搬送され, 低体温療法が施行された. 復温後の冠動脈造影検査において, 左前下行枝は左回旋枝から側副血行を経由して造影され, 血管閉鎖所見を認めた. 冠攣縮誘発試験は陰性, 冠動脈CT検査にて血栓閉塞および冠動脈解離所見を認めず, 先天性の左前下行枝閉鎖症と考えられた. 心エコー図検査では左室壁運動異常は認めず, 心臓MRI検査では遅延造影所見などは認めなかった. 12誘導心電図検査にて下側壁誘導にJ波を認め, 早期再分極症候群と診断しICD移植術を施行された. 後日施行された負荷心筋シンチグラフィで薬物負荷時に左前下行枝領域の心筋虚血所見を認めた. 近年心筋梗塞急性期の心室細動発症とJ波の関わりが指摘されており, 先天性左前下行枝閉鎖症による心筋灌流障害が早期再分極症候群の心室細動発症に関与していたと考えられる症例を経験したので報告する.

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© 2015 公益財団法人 日本心臓財団
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