2015 年 47 巻 SUPPL.2 号 p. S2_43
症例 : 50歳代男性. 症候性の右室流出路起源PVCと無症候性の右側前側壁の顕性WPW症候群を有し, 今回, 双方の根治術を目的に入院した.
電気生理検査 : 治療開始時, PVCは出現せず, まずは副伝導路の離断を目的とした. 弁下アプローチにて三尖弁輪自由壁10時方向での通電9秒後にΔ波が消失した. しかし, その直後, Wenckebach Blockになったため20秒で通電を中止した. 約3分後に房室結節は1 : 1伝導を獲得したが, AH時間は375msと延長, 無投薬下では心房刺激500msで, イソプロテレノールとアトロピンの静注下では400msの刺激周期でWenckebach Blockとなった. 正常伝導能が不良と判断し, 副伝導路へは追加通電せず, PVCのアブレーションを施行し終了した. PR時間は翌日195ms, 7日後に177msまで回復した. 退院後のHolter心電図ではΔ波, AV block, PVCを認めなかった.
結語 : 副伝導路の恒常的順行性伝導が房室結節の伝導性に影響を与えていた可能性が示唆された.