心臓
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第28回 心臓性急死研究会
QT延長と多形性心室頻拍による失神発作で来院したたこつぼ型心筋症に遺伝性QT延長症候群の関与が示唆された症例
堀本 拡伸向井 靖細川 和也満尾 博井上 修二朗大谷 規彰河合 俊輔樗木 晶子井手 友美
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2016 年 48 巻 SUPPL.1 号 p. S1_124-S1_129

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抄録

 38歳女性. 失神歴・突然死の家族歴はなし. 高校生時より心室期外収縮 (VPC) を指摘されていた. 2015年8月, 仕事中に気分不良の後に失神し, 心肺停止となったため, 救急搬送された. 来院時の心電図では著明なQT延長とVPC二段脈~多形性心室頻拍 (Torsade de pointes様polymorphic VT) を認めた. 緊急冠動脈造影で狭窄病変は認めず, 左室造影で心基部の過収縮と中部以下の広範な壁運動低下を認めた. 経時的に巨大陰性T波が出現する一方で, 左室壁運動異常は回復し, 入院前日の多大なストレスイベントも後に判明したため, たこつぼ型心筋症と診断した. VPC (RVOT起源) が経過に影響した可能性もあり, 後日カテーテルアブレーションを行った.

 たこつぼ型心筋症~QT延長~TdP/VFとなったのか, 遺伝性QT延長~TdP/VF~たこつぼ型心筋症となったのか, 判断に苦慮した症例を経験したために報告する.

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© 2016 公益財団法人 日本心臓財団
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